公正証書と内容証明
■メリットとデメリット
公正証書は、公証人が作成する公文書で高い証明力があり、裁判所の判決を得ずに直ちに強制執行をすることができます。しかし、公証人に公正文書を作成してもらうためには、公証人のところへ行く前に、問題が解決していなければなりません。
公正証書は公証人が作成するという意味であり、その前段階である紛争やもめ事についての事実が本当に存在するのかどうかを証明するものではありません。よくあるのが、遺言を公正証書でしたのだけど、その遺言そのものが別の人がしたとか、その意思がないのに作らされて無効だという訴えです。
公正証書を作るのは、金銭の貸し借り、不動産の売買、慰謝料示談金などについての場合が多いのですが、一般の方が作ると相手の言いなりや、相手に有利なものを作られてしまう可能性もありますので、注意が必要です。
また、公正証書を作るとなると、面倒だと言うことで、争いについて話し合いが付いても、公正証書作成まで至らない場合もあります。
そのようなときにも、司法書士は必要十分な形で文書を作成し、将来のトラブルに備えるような態勢を整えています。強制執行ができるから公正証書を作成することは重要ですが、その一方でインフルエンザの予防接種のように、争いを事前に防ぐための支援を致します。
公正証書や契約書、覚書、示談書、和解書これらすべての文書は誰の側にたって作られたのかという検討が必要です。市販の本にあるひな形は誰のため(より、はっきり言えば、誰が得するように作ったか)なのか、そのような視点を一般の方がもち、かつ、契約書や公正証書に落とし込むことは困難が伴います。司法書士が作る公正証書(その案)や契約書は、依頼者の利益にたちつつ、かつ、紛争予防にも役立つもの、依頼者が気がつかなかった事項についての検討を促し、交渉を円満有利な方向へ導くお手伝いをなすものと考えます。
内容証明とは
差出人が同文の郵便物3通を作成し、1通を相手方に、1通を郵便局が保存、もう1通を差出人の手元に残すものです。これにより、その「内容」と「差出日」が郵便事業株式会社によって証明され、かつ、その取扱いが郵便認証司によって認証されます。
しかし、この内容証明郵便も、受取人に「いつ届いたか」までは証明することができません。そこで、郵便物の「配達された年月日」を証明してくれる制度である「配達証明」の制度も併用する必要があります。
内容証明を送る場合には、相手が受け取らない場合の対策を考えておく必要があります。具体的には、実際に足を運んで、その相手、その家族、その従業員、代理人たる支店長、営業所長などに手渡したり(同じものを)、普通郵便やFAXでも同じものを送るという行為が必要でしょう。内容証明は相手に届いて効力を発揮する(発生する)ものもありますが、内容証明を作るという行為自体に相手との法律関係の整理を促すものですし、紛争解決、紛争予防の視点からは、内容証明、契約書、公正証書、覚書といった文書を大いに取り入れていくべきでしょう。
内容証明を専門家に依頼すべき理由
内容証明を使うべき場合と差し控えるべき場合
いきなり、金を返せという内容証明が届いたら、通常人はどう感じるでしょうか? 返すつもりだったけど、やめた、という人がいてもおかしくはありません。内容証明は文面からだけしか判断することができず、相手の気持ち、ニュアンスなどは伝わりません。話し合いで解決したい場合などには不向きですし、場合によっては、証拠を隠滅(隠す)される可能性もありますので、注意が必要です。
■内容証明を活用すべき場合とは
- 意思表示や通知の内容、時期が重要である
多くの紛争では、いつ意思表示がされたか、その内容はどうか、それは相手に届いているのかなどが問題となります。クーリングオフという制度では、発信主義をとっているので、契約後、不要だ、強引に買わされたなどの理由により解約したい場合に、クーリングオフを相手に主張するには、内容証明でしなければ実効性が非常に弱まります。 - 時効中断のための催告
催告とは、口頭や文書で裁判外で相手に貸金などの債務の履行の請求をすることです。この催告は6か月以内に裁判上の請求をしないと時効の中断効がありません。したがって、内容証明で催告をしておけば、その後6か月以内に訴訟を開始すればよくなりますし、何よりも催告したということを証拠として残しやすくなります。 - 確定日付の付与を受けたい
確定日付とは、当事者が後から変更できない確定した日付のことです。例えば、債権の譲渡は確定日付ある証書でしなければ債務者以外の第三者に対抗できません。この場合、内容証明に付される日付が、確定日付になりますので、債権譲渡の通知や債権質の設定通知は内容証明出しなければなりません。 - 相手に対するこちらの態度を示す
多くの場合、内容証明は訴訟の前段階でなされます。つまり、こちらの言い分(特に貸したお金を返して欲しいとか、契約が有効に解除できるのに、応じないなど)が筋が通っていて、相手が難癖をつけているような場合に、約束を守らないのであれば、裁判で訴え、強制執行をかけますよというこちらの真剣な意思表示を示す場合にも有効です。
内容証明を送るということは、相手に伝えたいことがあるということです。それが法律上の効果、契約関係の確認、解除、解約といった特定の目的を有する場合には、公示催告といった手続きを検討する必要もあります。また、相手方に明らかに、債務不履行(約束を守らない)、話が違うといった不完全履行といった契約上の問題がある場合においては、内容証明のみならず、公示催告、支払督促、といった意思表示と合わせて法律効果を発生させる法律手続きで内容証明の不備を補う必要がある場合もあります。
■司法書士の業務範囲を超える業務につきましては、お客様と相談の上、顧問弁護士との共同にてご支援させていただきます。改めて最初からお話になるなどの必要はございません。

